欠陥住宅を生み出す一つの要因には、住宅会社の施工体制があります。
『丸投げ』といわれる施工体制です。
これがあなたの大切な家を欠陥住宅に近づける可能性を生み出します。
どのような仕組なのでしょう?
自社で職人さん・下請け業者を抱えていない住宅会社があなたの家を建てた場合、一括で下請け業者に仕事を委託(丸投げ)します。
そして実際の工事をするのは、その下請け業者のさらに下請け(孫請け)の職人さんです。
つまり、受注者(契約した住宅会社)と施工者(実際に工事をする大工さん等)が違うということです。契約の受注者と施工者が違うために、施工者に責任意識が生じにくいのです。そして、見えない所で手抜き工事をされる可能性が出てきます。
あなたの家を建てる時の下請け業者との関係によって、出来上がる家の質も変わってきてしまう怖さがあります。
他社とのし烈な競争の末、コストダウンして受注したあなたの家の利益を上げるために下請け業者に流す金額を叩く、いわば下請けいじめが横行しやすいとも言えます。
あなたの大切なお金が、下請け、孫請けの中でどこかに消えてしますのです。
実際に工事する職人さんには、本来あなたが支払った分のしっかりした価値が届かずに家づくりにかける想いも半減してしますのです。
一番大切なのは、つくり手(社長・営業・設計者・現場監督・職人さん)の顔が見える住宅会社との契約が、欠陥住宅をつくらない第一歩なのです。
現場見学会は、工事中の現場を見ることができる良い機会です。
ぜひ参加するべきでしょう。そこでは、その住宅会社の仕様を確認しましょう。
□基礎工法:ベタ基礎か布基礎?または、鉄筋の種類、コンクリートの厚みなど出来上がっている躯体について
□土台の樹種、防腐措置のとり方、基礎との緊結方法(アンカーボルト)の適切な配置
□柱・梁の樹種、材寸、またそれらは乾燥剤なのか?集成材なのか?いくつのサイズを使っているのか?
□耐震金物・緊結金物の使われ方、どのような部分に使うのか?
□耐力壁の仕様はどうなっているのか?
□断熱材は何を使っているのか?その施工方法は?
□給水管の施工方法、使われている配管の種類はどうなのか?排水管の施工方法、留め方、音への配慮方法
などなど、項目を大まかに挙げました。このようなことを現場見学会では確認してみましょう。
難しいことは判らなくてもいいのです。
隠れてしまう部分を実際に自分の目で確認することが重要です。いざ着工した時に、あなたの家で粗雑な工事をしていないかを素人の目で見抜くのは大変ですが、現場見学会などで、模範的な現場を実際に自分の目で見ておくことで、その違いを感じ取れることが出来るだけでも良いのです。
なぜなら、住宅の欠陥は見えない所で起こるのです。隠れてしまう所こそ重要なのです。
そこを正直に見せ、説明してくれる住宅会社であることもポイントです。現場見学会でなくても、工事中の現場を契約前に見せてもらい、同じようなポイントについて住宅会社に確認することが重要です。
一番大切なのは、つくり手(社長・営業・設計者・現場監督・職人さん)の顔が見える住宅会社との契約が、欠陥住宅をつくらない第一歩なのです。
あなたの家づくりにおいて、欠陥住宅をつくらないために重要な役割をもつ人間が3人いることを知ってください。
≪1人目≫




あなたの家を設計してくれる“設計士”です。
驚くかもしれませんが、建築士の資格を持たない人間を、家づくりの仕事に携わらせている住宅会社も多いのです。
設計士といっても建築士を有さずに実務をしている実情があります。
間取りを優先したために、構造的にギリギリの不安定な建物でも建築許可が下りてしまうこともあるのです。
最終的な責任者が、建築士の有資格者であることを確認するべきでしょう。
≪2人目≫
あなたの家の現場を管理してくれる“現場監督”です。
実際の工事に対して目を配り、チェックするいわば現場の指揮官です。彼らの指示の下、職人さんが動きます。良い現場監督ほど職人さんは言うことを聞きます。
言うことを聞くということは、手抜き工事をさせないことに繋がるのです。
現場監督には厳密にいうと建築の資格はありません。
しかし、設計士と同様、最終的な責任者が有資格者である事が重要です。現場監督が持つべき資格には、建築施工管理技士・建築士などがあります。
≪3人目≫
“工事監理者”という役割を持つ人間です。
設計図書通りに、工事されていることを確認し監理する重要な役割を持っています。家を建てるときに必要な建築確認申請書に、その名が記載されます。
建築士の有資格者である設計者が、兼ねる場合もありますが、名ばかりの工事監理者となる場合が多いのです。現場監督がそれを兼ねる場合もあります。
そちらのほうが、より現実的にしっかりした工事監理を行えるでしょう。
いずれにしても名ばかりでなく、実際の工事監理者の目が行き届く体制を持つ住宅会社であることが望ましいでしょう。
現在どの住宅会社にも、住宅の部分によって異なりますが最長10年間、住宅の性能について法律で瑕疵担保責任を義務付けられています。
重要な構造的な瑕疵が見つかった場合、住宅会社は10年間無償で補修を行わなければなりません。
それは、欠陥住宅問題を背景として高品質な住宅を供給し、住宅取得の不信を取り除くために国が2000年4月から施行した法律によるものです。
大手企業であれ、中小企業であれ、零細企業であれ住宅をつくるからにはその法律が適用されます。
ここでポイント!!その10年間の保証を自社保証制度としているか、第三者による保証制度にしているかによって、違いが生まれます。
大手ハウスメーカーなどは自社保証制度をとっている場合が多いです。
しかし自社保証である場合、住宅会社が倒産してしまえば瑕疵担保責任を問うことはできなくなります。つまり、完成後何か重大な瑕疵が見つかった(家が傾いた、雨漏りで家が腐ったなど)としてもその会社が存在しなければ保証はしてくれないのです。
ですので、住宅会社ではその保証制度を第三者機関に委託する場合も多いです。
万が一住宅会社が倒産して無くなってしまっても大丈夫なのです。
第三者機関が保険で、その補修費用を賄ってくれるので家を建てるあなたにとっては安心と言えるでしょう。
自社保証の制度がしっかりとれない中小の住宅会社では、この制度の登録をしてあるかどうかが判断基準になります。
お客様の立場になって考えれば必要な措置といえるのです。
また、第三者機関による住宅保証制度の有無は欠陥住宅を防ぐことにも有効です。なぜなら第三者機関が保証をするということは、当然菓子を招くような工事はさせません。第三者の目が働くことによる、自社の検査だけでは気づかない所もチェックできるという利点が生まれるのです。
しかしあくまでも、“自社保証と第三者機関の保証のどちらが良いか”という場合の判断基準として考えてください。そこに頼り切っている住宅会社では安心とはいえないでしょう。
自社の体制もしっかりした上で、更なる安心をお客様のために与えるという目的で第三者機関の性能保証を採用している住宅会社を選ぶようにしてください。
工事中の検査のタイミングを知りましょう。
欠陥住宅を未然に防ぐためには各工程で、適切な検査を行うことが重要なのです。あなたが立ち会うことが出来なくてもいいのです。きちんとした検査体制がある住宅会社を選ぶことが必要です。
1.地盤調査実施、地盤改良工事
調査結果をデータ解析し、軟弱地盤であれば適切な地盤改良工事が施されます。
地盤調査報告書を必ずもらい、その内容を納得いくまで説明してもらいましょ。
(第三者機関の性能保証制度の利用の場合、ここで一度目の検査がある場合もあります)
2.基礎工事
地盤調査の結果によって、適切な基礎が設計されます。基礎の細かな仕様がここで決まります。
鉄筋の配筋終了時に配筋検査が行われます。図面通りに配筋されているか、鉄筋の種類・径・ピッチ・かぶり厚さなどを確認します。
アンカーボルトとホールダウン金物の適切な設置・位置の確認も必要です。
コンクリートの配合計画書、報告書をもらうと良いでしょう。
3.木工事
使用材料の樹種の確認、材寸の確認、耐震金物の適切な配置、取付方法の確認が必要です。
併せて耐力壁の仕様・位置についても確認します。緊結金物の適切な設置、釘の種類・ピッチについても確認します。
4.防水・断熱工事
サッシ廻りの防水テープの処理、外装材の下地材(透湿防水シート、アスファルトフェルト)の施工状況を確認します。
断熱材の適切な施工はとても大切です。なぜなら、家を腐らせる結露という欠陥に繋がる重要な部分だからです。
5.完了検査
社内検査、役所・第三機関の完了検査、施主検査を実施します。
社内検査:通水試験、通電、床のたわみ、壁の不陸、サッシ・建具の開閉状況、外装材のコーキングなど施工状況の確認をします。
役所検査:設計図書通りに完成しているかの確認を行います。この検査に合格すると検査済証が発行されます。これは違反建築でないかの証明にもなります。併せて必ずもらってください。
施主検査:ダメ工事の部分を必ずリストアップし、書類として残し官僚の確認を取る事をしましょう。
信用できる会社でも、任せっきりはよくありません。
なぜなら家づくりは、人間がやることです。
故意に欠陥住宅を作ろうとしなくても間違い、勘違い、見て見ぬフリによるミスはあるでしょう。
それをふせぐためにはどうしたらよいのでしょうか?
あなた自身が現場に出向くことです。
施主さんが現場に顔を見せることで、職人さんの気持ちも引き締まることでしょう。けれど度を過ぎてはいけません。
現場監督さながらに、気づいたこと不安なことを職人さんに直接いう施主さんもいらっしゃいますが、それはやめた方がいいことです。
ただし現場を見て、気づいたこと不安なことは、必ずすぐ担当者に伝え対応してもらってください。そして、あくまでも現場監督を通して職人さんに指示を出すようにしてください。
あなたが直接現場で指示をだすことはしてはいけません。
現場での責任の所在がどこにあるのか分からなくなってしまうからです。
また現場に入るときは、挨拶をして、作業している職人さんに声をかけてから入るようにしてください。
ちょっとした気遣いをしてあげると喜ばれるでしょう。
気持ちが伝わると職人さんも、良くしてあげようという心を持って仕事ができます。
職人さんも人間ですから、施主さんに良くしてもらえれば、自分の仕事で返そうとするのです。
逆に挨拶もせず、現場に入ってきて写真を撮るだけで帰ってしまうような施主さんは職人さんに嫌われてしまいます。
お互いにいい家を完成させるという共通意識の下に信頼関係を築くことができれば良いでしょう。
最後のポイントは、その住宅会社がモラルを持って良心的な家づくりをしているかに尽きます。信頼のおける社長が経営している会社かが重要なポイントでしょう。
社長のモラルが欠如しているとその下で働く社員・職人もダメな場合が多いのです。
耐震的に不安定な家の設計、ずさんな現場管理のため職人の手抜き工事が起こり、欠陥住宅に繋がるのです。
担当者の良し悪しはもちろんですが、住宅会社の最終的な決定権は社長にあります。
特に住宅会社のような所では社長のポリシーがその会社の前面に現れてくるのです。そして、営業マンがどんなに良いことを言っても最終決定権は社長にあります。
どんなにキレイごとを広告やパンフレットに謳おうと、儲け主義の社長の顔にはそれが表れます。トラブルになった時の対応も、その社長の判断で変わってくるのです。
お客様を大切にする気持ちを持った社長なのか?
すべてはそこに尽きてしまうのです。
そして、家は建てて終わりではありません。その後のメンテナンス、アフターサービスなどそこからのお付き合いの方が長くなるのです。
長いスパンで良い付き合いをしていこうとする住宅会社は自分たちも困るような欠陥住宅はつくらない努力をします。
長い間にはあなたの担当者は会社を辞める時もあるでしょう。
そうなった時のことを考えると、会社の軸である社長の考えやポリシーが非常に大事になってくることをわかっていただけると思います。
トラブルが多い会社だと、社長はなかなか表に出たがりません。
責任の所在をグルグルとたらい回しにされ、解決に時間がかかることが多いのです。
また、経営状態の悪い会社だと手抜き工事が心配されます。他社に比べて、安すぎる・話がうますぎる場合は疑った方が良いでしょう。経営状態が悪い所だと、びっくりするくらい安い金額で請け負って工事中に倒産してしまう会社もあるようです。
あなたが値切りすぎるのも欠陥住宅を生むもとになってしまいます。
お互いに信頼関係を築けないような住宅会社との家づくりでは、やはり安心できません。ひとつの家づくりを共にしていくパートナーです。
お互いに信頼でき、対等な立場であることが重要です。
信頼関係が築けない住宅会社とはどんなにお得でも契約しないことです。